365日~真夏の出来事②~
2020.04.26
夏の大会期間中
ごくたまに訪れる
ごきげんジジイの日
メンバー皆が調子よく
練習中のキレも良く
進むリズムもすこぶる良く
今日は午前であがっちゃえ
湧きおこる気持ちを抑えつつ
心で上がる歓喜の雄たけび
練習時間が短けりゃ
その分点呼の打率も下がり
今夜は安心安全だ
お昼を食べたらフリータイム
たまにはそんな日あってもいいじゃん
だってここまで3ヶ月
生きるか死ぬか桶狭間
部屋でダラダラ昼寝して
夢うつつのその向こう
何やら声が聞こえるぞ
場所は1階洗濯場
響き渡った怒鳴り声
どうやら3年いや神の
雷落ちたか衝撃度
すぐさま1年集合です
眠気眼もなんのその
急いで集まるその先に
神の手にあるパーカーが
視線の先にはCAT
当時はやったキャタピラー
黄色に黒字のロゴデザイン
良く見りゃ黄色が白くはげ
そこを指さし怒鳴り声
どうやら漂白剤とやら
神の服すら白くする
その場を目にした2年生
すぐさま駆け寄り誕生です
はぐれ刑事純情派
まずは事情聴取から
洗濯した奴手をあげろ
いやいや先輩皆でしょ
そんな気持ちを押し殺し
洗濯した順手をあげる
いったい犯人誰なんだ
そんなのわかるわけもなく
時間だけが過ぎていく
正しく座る事に慣れ
足の痺れじゃ自白せず
時間だけが過ぎていく
漂白剤持ってる奴誰や!
そこそこ皆もってんで
そう思いながらも下を向き
柔軟剤も怪しいぞ!
バカバカそんなわけねーじゃん
切羽詰まって冤罪じゃん
そう思いながら唾を飲む
お前は何を使ってる!?
はい、自分はファーファーです
おいおい商品名かいな
そこは柔軟剤でいいんちゃう
百歩譲ってソフランじゃ
なぜにそこで熊やねん
笑こらえに下を向き
自分の太もも強つねり
気づけば外は薄ら青
間もなく夜明けとなりまっせ
真実なんてどうでもいい
かつ丼なけりゃ
情もなし
いきなり無理やり決めつける
お前がやった犯人じゃ
カラスの色させ変えられる
それが寮生活の掟です
犠牲者1名出すことに
死者が出たとの連絡なし
ギリギリ命はつなぎ止め
ホッと胸をなでおろす
CATのパーカーよ
お前にそんな価値あるの
今思えば冷静に
1年だとは限らない
謎が何かもわからずに
いきなり起こった夏の事件
漂白剤の恐ろしさ
心を白くしておくれ
このまま闇に落ちていく
部屋に戻ると窓の外
夏の夜明けが近づいて
部屋の隅から覗いてる
白い熊の眼差しが
優しい香りで包み込む