365日~チャイム=スタートの合図~
2020.04.06
高校野球の名門校
グランドは甲子園と同じサイズで同じ向き
土も陽の向きも同じ環境で日常を過ごせる
そんなグランドが寮から2キロ離れた場所にある
全校生徒が3000人を誇り、学年のクラス数は25を超える超マンモス校
各学年1、2組にスポーツクラスが設けられ大半の部員はそこに在籍する
こんな環境なら、午後からは体育という名目の部活が始まり
練習はナイター設備があるはずだから長時間にわたり毎日鍛錬出来るだろうと思われがちだが
スポーツクラスもきっちり6時間授業
練習開始は16:00から
もちろん寮からの2キロは走って行くわけだが
練習は16:00からやっても19:30までの濃縮型
もちろんナイター設備がついているのにである
授業終了時間は学年関係なく同じだがグランド到達は先輩方より早くなければならない
ホームルーム終了後にポールポジションを取れればいいが
そうじゃない場合が大半で
つまり毎日、学校から寮まででか
寮での着替えのテクニックから
寮からグランドまでのランニングで
先輩方より前に、先のポディショニングにならなければならない
影をみつけたら、気配を感じたら挨拶しろ
決まりごとの1つに先輩には必ず挨拶を
“ちわ~” “失礼します”
見逃したら待つ地獄
全校生徒3000人を誇るマンモス私立
各学年25クラス超が一斉に終える6時間授業からのホームルーム
えんじ色のブレザーで溢れかえったロータリーから300mの寮までの道はもはやカオス
影と気配しかないその地獄を生きたまま抜けるにはとにかく大声で叫び続けるしかない
“ちわー、失礼します”
少しの見逃しもこれさえ連呼して唱えていればザオラルと同じぐらいの確率で生き返れるかもしれないから
寮にたどり着いたら早着替え
洗濯担当先輩から届く『○○がねーぞ』のザキ
高確率で死んでしまう呪文の発動に
一気に高まる緊張感と自分じゃなくて良かったの安堵感
その瞬間もはや人としてはクズである
口に詰め込む“はごろもフーズ”人気はみかんと白桃じゃ
ポッキー、クッキーには気をつけろ
この後2キロのランニング
そこでも影と気配を感じるぞ
喉に詰まって死ぬ前に挨拶逃して地獄を見るぞ
なんとか先輩方を追い越してたどり着く仮想甲子園球場
ホームルームが終わってからの15分の出来事
・・・・そう、まだ練習はこれからだ